遠山の地声

この広告は365日以上更新がないブログに表示されます。
Posted by 滋賀咲くブログ.at



レイクス初の有明ファイナルズを振り返って

 ファイナルズの二日間、おつかれさまでした。3位を手にしたレイクス初の有明での戦いを振り返るといかがですか。

――カンファレンス・ファイナルも3位決定戦も、ゲーム前に私がコートに入って観客席を見渡すと、レイクスのブースターの皆様が我々のベンチ周りをブルーに染め、有明に来たことを本当に喜んでくれている景色が目に入りました。私はとにかくそれが嬉しかったです。

 ゲームに関してましては、チームはよく戦いました。胸を張るべきです。「たら・れば」はもちろんあります。今回の有明での「たら・れば」は、今後消えることはないでしょう。それは私が来シーズン以降に活かすべきことですが、しかし今シーズン有明までの56試合を通じての、現状でのベストの采配をしたとも思っています。チームはファイナルズに相応しい素晴らしいゲームを展開し、本当によく頑張りました。




 やはり初戦の浜松戦の悔しさが、選手にもヘッドコーチにもあるかと思います。この日は序盤からチームの動きに固さが見られましたが、試合前も含め、選手の様子はどうでしたか。

――固かったですが、緊張で固かったというより、勝ちたい気持ちが強過ぎて普段の(ここ1~2ヶ月の)バスケットを見失っていたという感じです。私自身も、アグレッシブに行ききれなかった悔しい思いもあります。ゲーム前から浮き足立った感じはそこまでありませんでしたが、それぞれの『思いの強さ』は感じました。

 それでも、ゲームを決したのは小さいことと、ちょっとしたタイミングでした。小さいことですが、それは勝敗を決する(特に有明では)最も重要なことだと、改めて思い知らされました。イースタン・カンファレンス・ファイナルの秋田vs岩手のゲームも似た様な理由が勝敗を決したと思います。

 しかし、我々がそういった小さいことを丁寧に気を付けられるようになったのは3、4月頃からです。本当に成長したと感じられる今シーズンでしたが、このゲームの経験は来シーズンに向け、とても価値のあるゲームになり、レイクスを更に高いレベルへ成長させてくれる予感が十分にありました。

 この試合に関しては、有明入りの前から「浜松の外角からのシュート」をポイントに挙げていましたが、3P成功率40%、13本を決められてしまいました。2度の優勝経験を持つ浜松は、レギュラーシーズンとは異なる強さがあったのでしょうか。

――浜松は、我々よりもレギュラーシーズン通りの彼らのバスケットを展開していました。そして、レギュラーシーズンとは異なる力も兼ね備えていました。

 まずは、浜松はレギュラーシーズン通りの思い切りの良い3Pを確率良く決め、我々は準備していたディフェンスを上手く表現できなかったことと、オフェンスでもレギュラーシーズン通り動けないケースが、浜松よりも多かったと思います。

 次に、レギュラーシーズンと異なる強さとはナイル・マーリー選手です。彼は非常に優れた選手ですが、どちらかというと浜松のGo to guy(頼りになる選手)はチャーロ選手とアシャオル選手でした。そこにマーリー選手がプレイオフから加わり、彼のプレイオフの働きが、我々やプレーオフで浜松と対戦してきたチームにとって予想外の展開を生み、言うなれば「エックス・ファクター」(予想外の要因)として、浜松に相乗効果を生んだと思います。そして、彼はその勢いのままプレイオフ・MVPを獲得しました。

 試合後、ベンチやロッカーまでの廊下に座り込んでしまう選手もいるなど、選手たちは非常に気落ちした様子でした。翌日に向かうにあたり、選手にはどのような話をしましたか

――チームはよく戦い胸を張るべきだということ。優勝の可能性が無くなった今は辛いが、このゲームが必ず我々を成長させてくれるということ。そして幸いにも、我々には今シーズンの集大成のベストゲームをするチャンスがまだ1試合残っており、我々とブースターにはまだ笑顔で帰れるチャンスが残っているということ。明日のゲームは、改めてブースターの皆様と小川の為に戦うべきだということなどを話しました。ロッカールームでは、小川や岡田も辛い中チームに話をしてくれましたし、我々はホテルに戻り、夕食時に秋田vs岩手のゲームを全員で観て、岩手戦の対策も話し合いました。

 そして迎えた翌日の岩手戦、出だしから見違えるような動きで何度も観客席を沸かせました。レイクスの本来のバスケを有明でみせることができたのではないでしょうか。

――最初からアグレッシブに素晴らしいバスケットが展開できました。特に、1Qはオフェンスもディフェンスもコンセプト通りで最高でした。1Qは点差をつけることができましたが、岩手もレイクスが6年間到達できなかった有明に到達し、今シーズン19連勝とリーグレコードを作った偉大なチーム、どこかである程度追いつかれるだろうと思っていましたが、我々は冷静に正しく対処できたと思います。有明で良いバスケットが表現できて本当に良かったです。

 また、この試合は小川の現役最後の試合でした。第2クォーターにはフル出場するなど、輝きを放ちました。最初で最後の有明に立つキャプテンの姿は、ヘッドコーチから見ていかがでしたか。

――まず、このゲームの前にクリスが「シンヤをスタメンにしたらどうか?」と。また、岡田が「僕のプレータイムなんてどうでもいいです。シンヤを沢山出してください」と。どいつもこいつも、いいヤツですね(笑)。岡田やクリスとは、「勝つことが小川に対しての最大の贈り物になること、小川が長い時間コートに立てる状況をチームで作ること」を確認しゲームに入りました。

 そんな小川は1Q 3:17に交代する時に「いつもより交代早くないっすか?」と、その後2Qをフル出場するとは知らず油断した感じでした(笑)

 小川は、膝が痛くて100%の力で練習が出来ず、長い時間ゲームに出場する体力と脚力が備わっていない為シュートに対しての踏ん張りがきかず、さらに右手の中指と小指を突き指していた為、シュートが本人のイメージ通りに全く打てない中、積極的にゴールを目指し、素晴らしいジャンパーを決め、美しいディフェンスのファイトを見せてくれました。毎日、小川の苦悩を見続けていた我々にとって、どれほどの感動だったでしょうか。

 そして、最後のゲームで「人の為に戦う強さ」を身をていしてチームに学ばせてくれました。

こうした有明での貴重な二試合を終えて、3位という結果を手にしました。ここから2015-2016シーズンのレイクスが始まりますね。

――私は来シーズンに向けてすでに活動しています。チームは今シーズンの序盤はなぜ弱かったのか、そして成長、自信、有明での悔しさ、などを忘れずに、ウィナーに相応しい選手やチームになれる良いオフシーズンを過ごして欲しいと思っています。今のままのメンタリティやスキルでは優勝できなかったことを理解し、ステップアップに励まなければなりません。必ず有明に戻り、今シーズン達成できなかった目標を必ず達成する強い意志をもって、来シーズンに臨みたいと思います。

では、今シーズンの終わりにあたり、ブースターの皆さんにメッセージをお願いします。

――ブースターの皆様、今シーズン大きなご声援ありがとうございました。山あり谷ありの激動のシーズンでしたが、どんな時でも応援して頂きました皆様には心から感謝しています。チームとブースターの皆様が一つになり勝ち取ったレイクス初の有明は、きっと我々の一生の宝になると思っています。今シーズンの素晴らしい”瞬間”を皆様と共有でき、幸せです。

 来シーズンも、良い時もあれば大変な時もあるかもしれません。しかし、レイクスと皆様なら必ずまた乗り越えられると信じています。レイクスの可能性も、チームと皆様が一つとなった時の強さも、その尊さも、今我々は同じメンタリティにあると思います。

 来シーズンも皆様と共に戦えることを楽しみにしております。そして必ず有明の忘れ物を取りに行きましょう。

 繰り返しになりますが、ブースターの皆様、スポンサーの皆様、そしてレイクスを応援して頂きレイクスのゲームを観て頂きました皆様に心から御礼申し上げます。
========================================
 ついにたどり着いた有明の舞台で、勝利の喜びと敗北の落胆の両方を味わった選手たち。それは来季へのかけがえのない財産となるはずです。来季はTKbjリーグとしてのラストシーズン、そしてレイクス頂点への挑戦の年。来季も共に戦いましょう!

 当ヘッドコーチブログを最後までお読みいただき、ありがとうございました。今季のHCブログはこれにて一区切りとし、現在更新中のプレイオフブログ最終回にて、遠山ヘッドコーチによる来季への展望や意気込みをご紹介します。どうぞご期待ください。

Posted by 滋賀レイクスターズ.at 2015年05月28日18:19